舟越桂2012 永遠をみるひと@メナード美術館(愛知・小牧)
今回も行けました~♪
さてさて、
舟越桂さんの2012年の展覧会です~
2012年とわざわざ言うのは、
以前2008年の庭園美術館、2010年の金沢21C美術館と紹介してきたから。
舟越桂さんは、
1951年生まれ、岩手盛岡出身の彫刻家です。
お父さんは、彫刻家の舟越保武さん。
1975年に東京造形大学彫刻科を卒業し、
1977年には、東京芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻を修了。
今回は、今までの作品でも、見たことがないものや
《ピノッキオ》 2009 紙 水彩(絵巻原画 全14点)、
そして!!最新作”月の降る森”(2012)を見れました♪
これは、一点だけ、小さな展示室にて展示されていて、
入った途端、楠のいい香り♪
青い教会風の建物の上に、太ももから上の女性像。
影の部分に青彩色。
腰部分の布のたわみがなんとも柔らかで、
お尻や乳房の丸みと伴に、女性のやわらかさを象徴しているよう。
一方で、顔は精悍で、顎がシャープ、唇は少しうっ血した濃い赤。
(写真ではそう見えませんが…)なんとなく微笑みを浮かべているのが、
救いと思えました。
この”月の降る森”には、手の部分がないんですが、よく見ると、
展覧会に出ている彫刻23点の半数ぐらいは、手がないんですね。
舟越さんも「彫刻における手の表現は難しい」とおっしゃっているみたいですし、
手だけの彫刻もあるくらいですから、いろいろと”手”は意味を持つのでしょう。
そして、メナード美術館蔵の”長い休止符”(1993)も
初めて見たけど、よかったー♪
(”長い休止符”(1993) メナード美術館より)
こちらは、手もある全身像で、バイオリンを持っていない奏者が、
口が少し開いて、呆然もしくは恍惚としている感じ。
で、この作品の面白い所は、影がついているところで、
人物の影とバイオリンの影がありました。
以前、21c美術館で感動した”青い遺跡”(2000)も2年ぶりの再会♪
前回のように涙することはなかったけど、やっぱりよかった…
それと、今回面白かったのが、メナード美術館蔵のコレクションを
桂さんが選んで、コメントを付けているところ♪
”続きを読む…”で、書いておきますが、コメントも示唆に富んでいました
11月25日(日)までですので、ぜひ是非♪
メナード美術館 HP
http://museum.menard.co.jp/exhibition/ex1204/index.html
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舟越桂さんの名画についてのコメント(抜粋)
メナードのコレクションを桂さんが選んで、
コメントを付けていました♪
面白い見方だし、知らない作家もいたので、
ついつい見入っちゃいました
急いで写したので、間違っているかもです
アンソール:人間の抱える不安のようなものを
絵にしてゆくという点で、拓いた人。
マリーニ:マリーニの作品は強さだと思う。
強さで作り、完成すると美しさがくっついてくる。
これは、日本人の弱い所で、ヨーロッパ人の強さなのかと思う。
ルオー:最終的には、人間の弱さというものを
与えられた美しい存在なのだということを描こうとして
画面と格闘しつづけた絵描きだと思う。
ゴッホ:悲しい人生、痛ましい人生だったかもしれないけど、
あれだけすばらしいものを残していったということに
逆に希望を感じる。
グリス:ごろんとした強さ。ごろんとした立体感のある指。
マグリット:実はどこをとっても
「宝石のように美しいんだ」という絵を描いている。
ルソー:絵画が成り立っているところの不思議さを証明してくれる一人だと思う。
舟越保武(お父さん):「美しい女性」「静謐」でなく、「強さ」「調和」
ルオーの”美しい存在”とかゴッホの”逆に希望を感じる”とか、
マグリットは不思議な絵と見られがちというか、私もそう見てきたけど、
確かに「宝石のように美しい」と思ったし、
ルソーの「不思議さ」なんて言葉のチョイスは、ほんと!その通り!!だと思いました
メナード美術館 HP
http://museum.menard.co.jp/exhibition/ex1204/index.html
(9/30 追記)
”個人はみな絶滅危惧種という存在”(2011)より言葉メモ
85.5 美術が、庭の飛び石のようにならんで見える時、
置くのを忘れたような箇所にひとつ、
石を置き足していくのが自分のやっている事だと思う事がある。
新しい道を拓くというのではなく、
出来て来た道をうすっぺらなものにしないために、より幅のあるものにしたり、
その道にいろいろな味わいをちりばめる仕事もあると思う。
私はその辺の役割を果たしていきたい。
芸術はチューブから押し出される歯磨きのようなもの。
口からでた部分ががんばったりえらかったりしただけでは出られなかった。
チューブの中がいっぱいでそれが力となって一番出口に近いものを押し出した。
91.5.24 (前略)私の中のムジュン、混沌、未決といったものは
宗教でも強く現れているように思うから。
自分が居ることに対するつぐないに、何かを一生懸命にやる。
(中略)
何もできなくなった人たちに、あらかじめ与えられる役目も絶対にあると思う。
コレクターはそのものが自分のものになったと思うべきではない。
それを大切に思う全ての人間を代表して預かっているだけなのだ。
美術品とはそういう類の「物」なのだ。
金を使った特定の誰かに属してしまうようなものでは決してないのだ。
それをわかっていない画廊とコレクターが多過ぎないか。
94.12.2 芸術は作られるものではなく生まれるのだろう。
私たちのやれることなどそう大きなわけがない。
彫刻としての空間の意識あるいは堅牢さ、または空間を制圧していることは、
私にとってひとつの枷かもしれない。
俳句の17文字が枷であり、力であり、道標であるように。
(前略)組織になったとたん、それは力を生み、
その力は他の力と影響し始め、自由を失う。
そして時に表明すべき状況で沈黙し、神のように振る舞う。
神はほとんどの場合に沈黙を守る。人間から見ると神には言語障害がある。
それは組織だからなのだろうか?
組織が自ずから持つ弱点なのだろうか?
だから組織に所属しないものは強いのだろうか?
もしかしたらそこにもアートの意味はあるのか?
(個であり自由であるアート) 02.1.15
昨日を静かに閉じる事が飛躍には必要。
すごい物を作り上げているその人の古典性はどこに置かれているのか。
その人はどこに自分の基礎を置いているのか?
祈りとは自分の中の清らかなるものを己が表面に浮上させること、
ということがいえるのではないだろうか。 98.11.20
97.2.18 父と結婚して文学をあきらめた母に平櫛田中賞をささげることにしよう。
文学の作品を残さないできた母の作品はこの家庭だったのだろう。
(中略)
舟越の子供たちは良いところも、いたらないところも
母によるところが大きいように思える。
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